漢仁帳

人材育成プロトレーナー漢仁のブログ

みんなの喜ぶ顔が見たかった

おはようございます。漢仁です。

 

またまた1週間近く空いてしまいました。5~7日間隔の投稿ですいません。

 

毎日更新する方がいいのかも知れませんが、そんなに書くのが得意ではありませんのでご容赦ください(笑)

 

今日は私の友人(55歳)が話してくれた「小学生の頃に起こった出来事」という話が凄く良い話だと思ったのでシェアしたいと思います。

 

(ここからは回想しながら読んで下さいね) 

 

毎朝、一番乗りを目指して学校に行く尚宏君。今は55歳のおっさんです。

 

彼が早く学校に着いたら教室の先生の席にいつもお花が飾ってあったそうです。

f:id:MinamotoKanjin:20200531091310j:plain


 お花のない日は、机の上が綺麗に拭かれていたり、椅子が綺麗に並べられたりしていたそうです。

 

f:id:MinamotoKanjin:20200531091449j:plain

 

一番乗りで教室に入っているはずなのに、自分より早く誰かが花を持って来てるのか、それとも前の日に誰かが置いて帰ってるのか分かりませんが、とにかく毎日教室のどこかに何かしらの変化が見られたそうです。

 

一番乗りに教室にくる尚宏君に先生が聞きました。

 

「朝一番に教室にお花を持って来てくれてるのは尚宏君なの?」

 

「僕じゃないです」

 

「僕が来た時にはもう飾ってあります」

 

「誰が持って来てくれてるのか分からないの・・・」

「お礼が言いたいから分かったらそっと教えてね」と先生は尚宏君に頼んだそうです。

 

尚宏君は自分より先に来てる子がいることに対抗心を燃やして、絶対に誰なのか突き止めてその子より先に教室に来てやる!と意気込んでたそうです。


 尚宏君が学校に来る時間は7時で、用務員のおじさんが来るのは6時半です。

 

用務員のおじさんは、毎朝学校内の見回りをしながら鍵を順に開けてくれます。

f:id:MinamotoKanjin:20200531091652p:plain


 「尚宏君!今日も早いな!」用務員のおじさんは正門の鍵を開ける時に尚宏君と毎日顔を合わせます。二人は顔見知りになっていました。

 

「用務員さん僕一番乗り?」

 

「そうだと思うよ!まだ誰も見てないから」

 

尚宏君は教室にダッシュで向かいました・・・

f:id:MinamotoKanjin:20200531074752p:plain

「うわっ!また置いてある!!」

 

尚宏君が教室に入って来た時にはもう花が一輪飾ってありました。

 

「帰る時には無かったのに、やっぱり誰かが僕より先に来て置いてるんだ・・・」

 

尚宏君は、毎朝一番乗りのつもりで学校に来るのですが、いつも誰かに先を越されてるのが悔しかったそうです。

 

結局、誰だか分からないまま尚宏君が諦めかけた頃・・・

 

さすがに調べない訳にいかなくて先生が本気で調べ始めたそうです。

f:id:MinamotoKanjin:20200531091949p:plain


なんで鍵を開けてる用務員さんが知らないのか?

 

クラスのみんなや、他の先生方は、来るのが遅いから知らないのは仕方ないとしても、一番早く来る用務員さんが知らないなんて・・・

 

ある日用務員さんと2人になった時に尋ねたそうです。

 

「毎朝、私のクラスに花を活けてくれる子がいるのですが、どの子が活けてるかご存知ですか?」

 

すると用務員さんは先生に言いました。

 

「申し訳ございませんでした。こんな騒ぎになるなんて思いませんでした。誰にも言わない約束なので隠していました」

 

「嫁いだ娘が実家近くに家を買って戻って来てくれたんです」

そう言って用務員さんは先生に今回の経緯を話してくれたそうです。

 

「花を置いたのは私の孫です」

 

「でも孫に自分のお爺ちゃんが用務員をしてるということをみんなに知られたくないから私との関係は内緒にしてて欲しいって言われてるんです」

 

「孫にはこの雑用ばかりをする用務員の仕事が格好悪く映るんでしょうね」

 

f:id:MinamotoKanjin:20200531100132p:plain

 

「でも、先生!このことはもう少しだけ黙ってやっててもらえませんか?」

 

「私はあと半月ほどで雇用契約期間が切れてこの仕事を辞めなければなりません」

 

「それまでの約束なんです」

 

「私が退職したら新しく来る用務員さんが鍵を開ける担当になるから、迷惑になるといけないので、私が退職するまでの間だけって約束してるんです」

 

先生はなぜ花を活けてくれるのか、その理由を続けて尋ねました。

「なぜ、毎朝花を活けたり机を綺麗に並べたりするようになったのか、その理由は聞かれていますか?」

 

「孫はただ単にみんなの驚く顔や喜ぶ顔が見たかったらしいです」

 

f:id:MinamotoKanjin:20200531120746j:plain

 

「普段はあまり目立つことをする子じゃないのですが、私があの子に話したことがきっかけなんです」

 

 

「本当に良いことをする時は隠れてするんだぞ!」

「誰かが見てる時だけいいことをする人は沢山居てるだろ⁉」

「それは褒めて貰いたいからなんだ」

「みんな褒められたら嬉しいからなぁ」

 

「でもみんなが喜んでくれる顔を見て喜べる人が本当は素晴らしい人なんだよ」って、孫に話したんです。

 

「そしたらじゃあ隠れていいことするって言いだして・・・」

「こんなことになってしまったんです」

 

「先生、陰徳ってご存知ですよね。人知れずする善行のことです」

「いま学校生活の中では「陰徳」より「陽徳」を教える学校が多いそうですね」

 

先生は言いました。

「学校で教える陽徳とはいわゆるボランティアのことですね」

 

「人から感謝されることに喜びを感じ、自分の存在する意味を見つける。そういう徳を積む人も沢山いらっしゃいますね」

 

「多くの方が、良いことをして感謝されて、自分も人も気持ちいいという互助の精神が明るい社会を作るとも言われてますしね」

 

「学校では、子ども達の自尊心を育てる目的だったり、お互いが助け合うことでみんなが支え合って生きているということを学ぶためにボランティア実習を取り入れる学校が増えているそうです」

 

用務員さんは続けて先生に話しました。

「私は陰徳も陽徳も両方大切だと思います」

 

「でもそのことを教えない学校教育には正直失望しています」

 

「徳を積むどころか、最近では悪いこととわかっていながら隠れてコソコソやる、怒られなければ、バレなければ平気だという行いが増えてるように思います」

 

「だから顔が見えないところで「言論の自由だ!」とか言って、人を傷つけるようなことを平気で言うんです」

 

「人を傷つけてもいい「自由」なんてあってはいけません」

 

 

用務員さんが最後に先生に話しました。

 

「先生、最近の流行言葉なのか分かりませんが「私の勝手でしょ⁉」って言葉、私はあれが大嫌いで、自分勝手な人が言う言葉だと思っているのですが、先生はどう思いますか?」

 

先生は笑いながら「確かにうちのクラスの子たちもよく言います」と言いました。

 

「いまの子ども達があと数年して社会を担う若者になった時に、今のままでは年寄りを背負うどころかお荷物として扱ってしまうんじゃないかと心配しているんです」

f:id:MinamotoKanjin:20200531094440p:plain

 

「そんな世の中にしないためにも、私たち大人が、自分で考え、自ら積極的に行動し、責任も自分で取るという生き方を子ども達に示さないといけませんね」

 

 

「私はみんなの喜ぶ顔が見たいと言って休まずに早起きし続けた孫を自慢に思っております」

 

用務員さんは先生との話を終え、その半月後、雇用期間満了で退職されました。

 

お花も活けられることはなくなり、いつの間にか人々の記憶からこの話題は消えていきました。

 

数年後、尚宏さんは、つい最近開催された同窓会の席で先生がこの話を披露されたのを聞いたそうです。

 

私にこの話をしてくれたおっさんになった尚宏さんは「ずっと目の前に掛かっていたモヤが晴れたような気がした」と嬉しそうに話してくれました。

 

結局、用務員さんのお孫さんが誰だったのか先生は名前は公表されなかったそうですが、同じクラスにそんな素晴らしい行いをしてくれた子がいたことが尚宏さんは嬉しかったそうです。

 

今でも尚宏さんは「やっぱり陰徳は今の子ども達にもちゃんと教えないと!」と事あるごとに言っています。

 

私も、ただ単純に「誰かが喜ぶ顔が見たい」という動機で何かをするということが、人にやさしい社会をつくる為に一番必要なことなのではないかと思っています

 

先日、ブルーインパルスが医療従事者に感謝の気持ちを込めた航空ショー(感謝飛行)を見せてくれました。

 

f:id:MinamotoKanjin:20200531094059p:plain出典:https://www.nikkansports.com/

 

この陽徳が医療従事者の心に届いていることは明らかですが、それを見たすべての人の心の中に医療従事者に対する感謝の気持ちが拡がっていくことを私も願っています。

 

最後までお読み頂き有り難うございました。感謝。

漢仁

www.kansblog.comwww.kansblog.comwww.kansblog.com