漢仁帳

人材育成プロトレーナー漢仁のブログ

心配りの跡〈顧客満足の追求〉

ここ数年、多くの企業で「お客様サポートセンター」「お客様相談窓口」「カスタマーセンター」などの名称で、お客様からのお問い合わせ、苦情、ご意見などに対応するための窓口を設けているところが増えています。

 

お客様からのご意見を聞かない、言い換えれば、ご意見など欲しくない、そこまで対応する能力はない、そもそも考えていないといった理由で設置しない企業を除き、必ずと言っていいほど設置しています。

 

インターネット環境の整備が進み、ホームページを持つ企業が増えたことで、電話による苦情窓口を無くし、「お問い合わせは弊社ホームページから」という対応に切り替える会社が増えています。

 

お問い合わせ欄に入力をする作業は、長くなればなるほど大変さを伴いますし、苦情などの場合、文章を入力している間にお客様が要点を整理できる副効果も期待できます。

 

電話の応対に掛かる時間が短縮される上に、その人材を電話の前から離れられるようにすることで生産性が上がります。

 

まさに、企業にとってホームページ内のお問い合わせ欄は、無くてはならない有難いツールなのです。

 

そんな中、ホームページ内にお問い合わせ欄を設けているのに、電話応対による相談窓口も併設している企業があります。

 

企業内に専用の部署を設け、お客様の声を商品づくりやサービスに反映させるために、人手も時間も掛けているのです。

 

製薬会社や化粧品会社の商品開発に携わっている多くの担当者は「お客様の声を聞かないと良い商品は作れない。商品を常に見直し、お客様により満足して頂ける商品を作る」と言っています。

 

私の母が定期的に購入していた通販化粧品会社では、母の意見を聞くために専属の担当者が付いています。

 

専属の担当者と言っても、お客様一人に担当者一人を当てることはできないのですが、母は「私の担当の人」という認識で見ています。

 

その専属の担当者から、定期的に「商品に関するご意見をお聞かせください」といった内容の手紙が届きます。

 

手書きの手紙です。

 

私は「凄い手間暇かけてるなぁ」と感心するのですが、その手紙に新商品の案内が一緒に付いています。

 

母が乾燥肌なのは情報収集済みなので「保湿成分を多く含んだ化粧水ができました」と手紙に書けば、母は「私のこと気にかけてくれている」という気持ちになるのだそうです。

 

その巧みな顧客管理術に「うまいなぁ」といつも感心していました。

 

そんなある日、感心を通り越してびっくりすることがありました。

 

母に送られてくる2~3枚のホチキス止めされた手紙の裏側にこんなものが・・・

 

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再現して撮影したので本当はもっと綺麗でしたが(笑)

 

ホチキスの針に引っ掛からないように、付箋を短く切ったものに※印が書かれて貼り付けてあったのです。

 

「ここまでするか!」と驚きましたが、文章のどこを見ても「ホチキスの針にに注意して下さい」とは書いてないんです。

 

日本には「陰徳」という言葉があります。

 

人のためになる行い(良いこと)は気づかれないようにやろうという意味なんですが・・・

 

例えば、

朝早く学校に行って誰もいない教室に花を飾る

靴箱の靴や脱いだ後の靴を揃える

洗面所の水滴を拭き取る

トイレットペーパーの先を取り出しやすくするために三角に折る など

 

 本当は「私がやったのよ!」「誰か私を褒めて!」って言いたいところでしょうが、自分以外の誰かのために何かをするということ、更に言うと、見返りを期待しないでただ一所懸命に気持ちをそこに注ぐと自分磨きに絶大な効果があるそうです。

 

些細なことほど、心がそこに向けられていないとできないことですよね。

心配りって素敵な言葉です。

 

誰にも気づかれずに良いことをする「陰徳」

自分の心の成長にすごく効果がありますのでおすすめします。

 

漢仁